あなたは、第一印象で「嫌い」と思った人はいますか?第一印象で「嫌い」と思ったからと言って、恋愛対象にならないとは限りません。実は、そんな相手ほど、恋愛に発展しやすいのです。今回はそのメカニズムを紹介していきましょう。
◆嫌いのイメージからはもう上がるしかない
例えば、テストで0点だった人がいたとしましょう。次回、1点でも取ればそれは「成績が上がった」という事になります。マラソンで最下位だった人がいたとしましょう。次のレースで後ろから2番目だったとしても、それも「成績が上がった」という事になります。そう、「嫌い」のイメージはいわば0点のテストや最下位のマラソンのようなもの。そこからはもう上がるしかないのです。
スタートがゼロですから、例えば、疲れた時に甘い物を差し入れしてくれた、落ち込んだ時に励ましてくれた、など少しでもきっかけがあれば印象アップにつながります。自然と加点方式で相手を見るようになるのです。
逆に、第一印象でストライクな相手だって人間ですから、当然欠点はあります。初めから好印象だった相手ほど、「何か思っていたのと違う」と減点方式になりがちなのです。
人間関係は、加点方式で見た方が上手く行く、と言います。嫌いな相手ほど、意識せずに自然とこの「加点方式」が出来るのですね。
◆期待しないのでハードルが下がる
好きな相手に対してだと期待値が上がります。例えば、好きな相手が忙しい時に仕事を手伝ってくれたとしましょう。好きな相手ともっと仲良くなりたい、もっと一緒に居たいとい思いが働きますから、「忙しい時に仕事を手伝ってくれて感謝」という事にフォーカスしなくなります。
逆に、嫌いな相手が手伝ってくれた場合はどうでしょうか。別に何も期待していないので、もっと仲良くならなくてもいいし、一緒に居なくてもいい。でも、忙しかったから、仕事を手伝ってくれて助かった。そこは感謝する。と自然と「やってくれた事にフォーカスして感謝」ができるのです。
人間関係は、してくれた事に対してフォーカスして感謝するとスムーズにいきます。ここでも、好きな相手に対しては意識して努力しないと出来ない事を、嫌いな相手に対しては自然とできるのですね。
◆「嫌い」を裏返せば「気になる」だから
「好き」の反対は「嫌い」ではなく、「無関心」です。「好き」と「嫌い」は本質的には同じ、「気になる」という事なのです。ただ、ベクトルの向きが違うだけです。そしてそのベクトルは風見鶏のようなもの。少し風向きが変われば、簡単に方向が変わるのです。
古い映画ですが、「サウンド・オブ・ミュージック」をご存知でしょうか。この映画は、「嫌い」が「好き」になって行く心の移り変わりがよく表現されていると思います。
主要な登場人物のトラップ男爵は奥様に先立たれ、残された7人の子供たちの教育係兼お世話係として、家庭教師を探していました。
トラップ男爵は広大な土地を領土にもち、資産を持っていますから、後妻の座を狙う家庭教師が次々と派遣されて来ました。歴代の家庭教師たちはトラップ男爵に好かれようと男爵のいいつけを守り、子供たちに厳しく接します。子供たちは家庭教師の厳しい態度や後妻の座を狙う魂胆を見透かし、家庭教師たちにいやがらせをします。そして、歴代の家庭教師たちは短期間で辞めていくのでした。
そこへ、主人公マリアの登場です。マリアは、男爵の後妻の座、広大な領土や資産などは全く興味がありませんから、男爵に媚びを売って好かれようとはしません。子供たちに愛情を持って接し、男爵の子供たちに対する厳しい態度には問題があるとはっきりと指摘します。自分に歯向かって来る女性などいませんでしたから、男爵は当初、マリアの事が「嫌い」でした。
ところが、マリアの子供たちに対し愛情をもって接し、マリアになついているのを見て、男爵は徐々に態度を軟化させます。そして奥様をなくして以来、暗かった家族に音楽と笑顔をよみがえらせた事がきっかけで、男爵はマリアを愛するようになるのです。ここが風向きが変わり、「嫌い」のベクトルが「好き」に変わった瞬間です。
後妻の座を狙っていた歴代の家庭教師たちが、子供たちにいやがらせをされ、志半ばで去っていき、後妻の座に興味がなかったマリアがトラップ男爵と結婚した原因は何でしょうか。
逆説的ですが、「後妻の座を狙っていなかった事」なのですね。
「嫌いな相手に対してのイメージは上がるしかない」「期待しないのでハードルが下がる」「嫌いの裏を返せば気になる」の3つのポイントが大変良く表現された映画です。
逆に言えば、好きな相手に嫌われていても、悲観しすぎなくて良いという事です。「嫌い」が「好き」に変わった事例など、山ほどあります。「サウンド・オブ・ミュージック」はベクトルが変わる心理状況がよく分かる良い教科書だと思いますので、見た事がない方は是非一度、ご覧になることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?「好き」も「嫌い」も表裏一体で本質は同じという事がお分かりいただけましたでしょうか。今「嫌い」な相手でも恋愛対象になりえる、むしろ発展しやすいという事です。要するに、「自然体」が重要で、皮肉な事に嫌いな相手に対しては自然体になりやすいという事ですね。あなたが自然体で振舞って、良きパートナーが得られるよう、応援しています。